恋、物語り



「ねぇ、アヤ?」
唐突に彼が口を開く。
「アヤはさ、今まで彼氏とかいた?」

彼氏かーー…
中学の頃好きだった先輩には
一度も想いを伝えることなく
会わなくなって次第に冷めた。

あ、告白ではないけれど
バレンタインデーにチョコレートを
手作りして渡したっけ。

確か、先輩の高校受験の日。



「彼氏はいたことないの。
好きな人ならいたけどね。
でも、それも本当に好きだったかわかんないさ。
ただ雰囲気がね、好きだったの」

先輩の顔や中学時代の背景が脳裏に蘇る。


「小林くんは?彼女いたことある?」

「いたことあるよ。中学の時ね。
1年くらい付き合ったけど、結局ダメだった」

「どうして別れちゃったの?」

「……あっちに好きな奴が出来たから」


ドクンーー…

「そう、なんだ…」


なぜだろう。
なぜだろう…。
中島くんが頭に浮かんだ。
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