恋、物語り



私たちは付き合っているわけではない。
彼に好きだとは言われたが、
付き合っているわけではない。

私と彼の関係は
彼が私のことを好きということ。
メールのやり取りをしていること。

ただ、それだけ。

彼に惹かれている自分もいた。
でも…なぜだろう。
今、脳裏に浮かぶのは中島くんの姿で。


彼を裏切っている気持ちにさえなった。



「暑くなってきたよね」
沈黙をやぶるのはいつも彼。

「そうだね、夏だね」
それに応える私の言葉はいつもありきたり。


それでも彼は屈託無く笑う。
私を真っ直ぐ見てくれる。


ーー…『それだけで突っ走れるでしょ』

昼に言われたナツキの言葉がこだまする。


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