恋、物語り
地元の友達と合流したあと、祭りを堪能した。
いや、堪能しているふりをした。
小林くんの切ない顔が頭から離れない。
「ねぇ、アヤ?
コバくんとはもう連絡とってないの?」
焼きそばを片手に唐突に千夏が言う。
それを聞いた友達たちが「え?何!?アヤに男の陰?」なんてからかってきた。
「そんなんじゃないよ。
小林くんとはもう連絡とってないよ」
真っ直ぐ向いて言った言葉に嘘はない。
嘘はないけれど、少し切なかった。
するとミツルが言った。
「コバ可哀想。あんなずっとお前のこと好きだったのに。
せっかく告れた!連絡先交換出来た!って喜んでたのに」
意地悪く私を睨むから、私は凄んだ。
「なんでコバをふったんだよ!?」
千夏が「まーまー、そんな風に言わないの」と、フォローしていたけど、ミツルは少し怒っているようだった。
「…ミツルには関係ない」
可愛げなく私が言う。
また千夏が「アヤ!」と宥めるように言ったけど、私たちは止まらなかった。