恋、物語り
「関係ないって何だよ!」
「だって実際関係ないじゃない!
私がどんなに悩んだかとか、ミツルは分からないでしょう?」
「わかんねーよ!
でも、お前好きになるかな?とか言ってたし
ユウコにだって好きになりたい…みたいなこと言ってたんだべ?」
「…あの時は本当にそう思ってた!
でも、どうしようも出来なくなったの!」
ーー…『中島くんが好きと思ったから』
喉まで上がった言葉を飲み込んだ。
中島くんはミツルも友達だ。
それに彼には彼女がいる。
「…なんだよ、それ。
そんな急に態度変えて…コバ、可哀想だよ」
ミツルは哀れんでいたのかもしれない。
「今だって…ずっとお前のこと…」
……その先は安易に想像ついた。
『ずっとお前のこと好きなのに』
どうしようもない、
行き場のないこの気持ち。
どこにぶつけたら良いかわからない。
周りの地元の友達たちは
困惑した顔をしている。
せっかくのお祭り。
屋台が並んで楽しそうに行き交う人々。
せっかく身に纏った浴衣を見て虚しくなった。