恋、物語り




…それでもいいよ。聞かせて。
彼は少しの沈黙のあと、優しく言った。


外灯の少ないこの町を
月明かりが優しく照らす。
近くに気の利いた公園なんてなくて
あるのはお祭りのやってる神社くらい。

ザワザワした神社で話し出来るかな。
そう思ったけれど、家に招く度胸もない。

仕方なく私たちは元来た道を辿った。



お互い話すことはなかったけれど
本当に彼との沈黙は心地いい。



神社にはまだ人が沢山いた。
ベンチもあるけれど、人がたくさんいる。
「あっち行こうか」
神社の階段について、私は巾着からハンカチを出し、座る場所に敷いて腰をかけた。


女の子って感じするね。
そう言って彼は笑った。





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