恋、物語り




夜にメールが一通届いた。
表示された名前はもう見慣れた彼の名前。

開くのをためらう。
カチっとボタンを押す音がとても大きく感じた。


[海楽しかった?
俺は今家に着いたよ。
カラオケで歌いすぎて喉痛い。
アヤは今何してた?]

何も変わらない。いつもと同じメール。
でも、なぜだろう。
少しだけ、胸が苦しい。


開いた窓から風が入る。
お盆が近くなって夜になると少しだけ風が冷たくなってきた。
でも、星はすごく高いところにあって、冬よりは鮮明に見えない。



小林くん……
あなたに聞きたいことがたくさんある。
今日はクラスのみんなと遊んだの?
ユウコと2人になったことはあった?
カラオケでユウコと歌った?
どんな気持ちで私と接してる?

そんな感情を押し殺して、私は返信ボタンを押した。



[楽しかったよ。
カラオケいいね!
もうすぐ夏休みも終わるね。
宿題やらなきゃ]

話題を変えるのが精一杯。
その後すぐに返信は来たけれど、それを開くことが出来なかった。


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