恋、物語り




夜遅くにメールを開くと宿題やってなーいと言う内容。
彼の情けない顔を思い描いて笑みがこぼれた。


彼と最後に会ったのはお祭り。
その時、そばにいてほしいと言われて、彼氏彼女になった。
私はその役割がちゃんと出来ている?

……きっと、出来てはいない。



ーー…人を好きになるってどんな時?
付き合うって何をするの?

そんな思いが頭をよぎる。



私は返信ボタンをそっと押して
[宿題、一緒にやる?]と、彼を誘った。


このモヤモヤする気持ちを
そして、彼自身を
もっと知りたいと思った。



夜遅くだというのに、彼からの返信は早かった。

[やる!明日空いてる?俺ん家おいでよ]


心臓が痛いほど早かった。
もしも、人生で心臓の刻む回数が決まっていたら、私はこの一ヶ月あまりで寿命はかなり縮んだだろう。



明日の約束をして、最後に彼からの
[明日会えるの楽しみにしてる。おやすみ]
のメールを見て目を閉じた。




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