恋、物語り




朝は7時に目が覚めた。
カーテンの隙間から注がれる太陽の光はとても強かった。

カーテンを開けると眩しくて無意識に目を細める。


約束の時間は10時に彼の地元の駅。
私の最寄り駅から二つ先の駅だった。


朝食を終えて、姉の部屋を尋ねる。
姉は彼氏と用事あるからとメイクをしていて、鏡を見ながら私の要件を聞いた。

「ミユちゃん、髪の毛結んでくれない?」
「どうしたの?珍しいね」
「…彼氏の家に行くから」

持っていた頬筆をポロっと落とすのをみて、姉が驚いているのが分かる。
私に初めての彼氏。
姉にその話しをしていなかったから驚くのは無理ないが、漫画のように持っている物を落として驚く姿に少し笑えた。



姉は嬉しそうに髪の毛を結ってくれた。
「とびきり可愛くしたいけど、アヤの髪の毛短いから少しだけ巻いてあげる」とコテを髪の毛にあてる。

姉は、そういうのがとても上手だと思う。


そして、お祭りの時のように頼んでもいないのに、服を選んでくれた。
有難いと思った。



< 80 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop