恋、物語り




靴をローファーに履き替えて玄関で彼を待った。
特に急ぎの用事もないけれど、何度も時間を確認してしまう。
携帯を開いては閉じて、開いては閉じての行動を繰り返していると中島くんに声をかけられた。


「あれ?コバは?」
「ちょっと用事で…待ってるの」

ふーん。と興味なさそうに言って、私の隣に座った。


「なんかあったの?
なんか不安そうな顔してるよ」

「え!?そんなことないけど……」

顔に出ていた。
分かりやすい私の態度。ほんと嫌になる。



「…ユウコとコバ、さっき見たよ。
不安なことってそれ?」

見透かしているかのように、彼は私に言った。
首を縦に振ると彼は笑っていた。


「なにも不安がることないって。
知ってる?あいつ、未だに俺らと遊んでてもアヤがどうした、アヤがあーしたって煩いくらいなんだから」

「…うそ。」

「嘘じゃないって。
8ヶ月経って、未だにあんなに彼女のこと話せるってすごいと思うよ。
…だから、不安にならない。ねっ?」


彼の言葉に少し安心した。
ユウコが何を言おうと、私たちは付き合っている。
それを覆すことはないよね。

そう自分に言い聞かせて、また携帯で時刻を確認する。

玄関について15分は経っていた。
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