痛々しくて痛い
「じゃあ、その時に給湯室使った?私が説明するまでもなかったかな」

「あ、いえ。研修期間中はここは利用しませんでした」


私は慌てて解説した。


「30人もいましたから。その人数でこの狭い空間を利用したら大混雑してしまうという事で、申し訳ないけど研修生は出入りしないで下さいって言われました」


そして他の部屋も。


研修で使っていた大会議室と、化粧室、売店、食堂以外は、誰かの案内がない限りは勝手に入室してはいけない決まりだった。


だから現職場である元資料室も、中に足を踏み入れたのは今日が初めてである。


「え。そうなの?でも、それじゃあ何かと不便だったんじゃない?」

「いえ、特には…。飲み物は水筒持参か自販機で買ってましたから、洗い物は出ませんし」

「でも、カップラーメンとかサラダとか、最後に汁気が残っちゃうような食べ物の場合困らない?」

「あ、そういう生ゴミが出そうな物は皆最初から避けてました。どうしても汁物が食べたい人は社食に行ったりして」

「ああ、そっか」

「私のように手作り、もしくはコンビニか売店のお弁当が主流だったんです。ゴミ箱は研修会場内にちゃんと設置してあったので、空容器やペットボトルはそこに捨てられましたから。これといって支障はありませんでした」

「なるほどね」


合点がいったようにウンウンと頷きながら絹田さんは言葉を続けた。
< 100 / 359 >

この作品をシェア

pagetop