痛々しくて痛い
「考えてみたら高校生の時とか、生徒が給湯室なんか使えなかったもんね。それでもどうにかなってたんだから、社会人がやってやれない事はないよね」

「はい」

「でも、今は堂々と出入りできる立場になったんだから。遠慮せず、じゃんじゃん食べ物保冷して洗い物しまくって、このスペースを使い倒してやろう!」


力強く言葉を発する絹田さんのその姿を見て、私は思わず「ウフ…」と笑いを漏らしてしまった。


何か、クールビューティーな見かけとはうらはらに、意外と面白い方なんだな~と。


「あ。ちなみに、生ゴミの処理とか消耗品の補充とか全体の清掃なんかは、派遣で来てるクリーンスタッフの人がやってくれるんだってさ。私達は手を出さなくて良いらしい」

「そうなんですか」

「うん。肝心な事を言い忘れるとこだったわ。でも、ありがたいシステムだよねぇ」


言いながら、絹田さんは自然にその場から歩き出し、廊下へと出た。


「そういう雑用から解放されるってのは。例え当番制だとしても、忙しい最中、業務に関係のない事で時間を取られるってのはすっごいストレスになるし」

「そうですよね」


当然、私もそれに従いつつ会話を交わす。


ほどなくしてエレベーターホールに差し掛かり、絹田さんはそこで足を止めた。


「私はこれから売店に行くつもりなんだけど、綿貫さんはどうする?」

「あ、お弁当作って来たので…」
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