痛々しくて痛い
絹田さんの後に続きロッカールームを出た所で、廊下の先から別部署の女性が3人、連れ立って歩いて来る姿が見えた。


お互いに「お疲れ様です」と言い合いながらすれ違う。


「で、ここが給湯室ね」

販促総プロ課とは反対方向に進んだフロアの突き当たりにそのスペースはあった。


流し台と湯沸し器、その背面に大きな冷蔵庫と食器棚、腰の高さくらいまでの収納棚があり、その天板には電子レンジが2台鎮座している。


要するに家の台所の小型版だけれど、コンロだけはなかった。


長時間ここを占領されては困るので、あえてそういった物は設置しなかったのだろう。


食堂があるのだから社員が会社で本格的な料理を作る必要なんかないし、インスタントやレトルト食品の調理はお湯か電子レンジでたいてい対応できるので、コンロが使えないからといって何ら不都合な事はない。


「各階に一ヶ所ずつ設けられてるんだよね。電気ポットの水かえとか茶器を洗う時はもちろん、生ゴミが出た時なんかはここに捨てに来て」

「分かりました」

「あと、冷蔵庫は空いてるスペースに適当に置いて良いってさ。今の時期はあんまり利用している人はいないけど、夏場はぎゅうぎゅう詰めになりそうだね」

「そうですね」

「……あれ?」


そこで絹田さんはハタと気付いたように声を上げた。


「そういえば新卒で入った人って、本社で新人研修やるんだっけ?」

「はい」
< 99 / 359 >

この作品をシェア

pagetop