痛々しくて痛い
答えながら手にしていたバッグを持ち上げてみせた。


「そっか。じゃ、ちょっと行って来ちゃうね」


絹田さんはそう言いつつエレベーターに近付くと▽ボタンを押した。


「あ、ポット付近に置いてある飲み物、会社の経費で買ってるやつだから、遠慮せず飲んでね。マイカップはちゃんと持って来た?」

「はい。それもこの中に」

「おお。抜かりないね。まぁ忘れちゃっても、使い捨てコップがあるけどさ」


そうこうしている間に昼休憩に入ったのであろう人達がわらわらとホールに集まり出し、エレベーター前は途端に混雑し始めた。


「お、来た。じゃ、また後で」

「はい、行ってらっしゃい…」


箱に乗り込みつつ、そう言葉を発した絹田さんに返答してから、私はその場を後にした。


販促総プロ課に戻ると、中は無人だった。


他の人も社食か売店か、もしくは外に行ったのだろう。


この近辺は飲食店がいっぱいあるし、ランチの場所は選り取りみどりだもんね。


ただ、時間との戦いで尋常じゃなく忙しないだろうし、全然食べた気がしないだろうから、私は外食する気にはなれないな。


お昼休みはゆったりのんびり過ごしたいもんね。


そんな事を考えながら自分のデスクに近付き、バッグを一旦椅子の上に置くと、体と手を伸ばし、大庭さんの机上にあるウェットティッシュの容器を取った。


これで拭くように言われたもんね。
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