痛々しくて痛い
中身を取り出し容器を元の位置に戻すと、そのシートで机の上を拭いて足元にあったゴミ箱に落とす。


お弁当箱とマグカップを取り出し、一瞬迷ったあと、デスクの一番下の引き出しを開け、空っぽだったそこにトートバッグを仕舞った。


あ、今のうち、おトイレに行っとこうかな…。


心の中で呟きつつ歩き出し、部屋を出て、給湯室を目指して歩を進め、壁を挟んだ裏側に位置する化粧室へと入って行った。


「あ、お疲れ」


用を済ませ、ハンカチで手をふきふきしつつ廊下を進み、再び部屋に入った所でそう声をかけられ、私は思わず飛び上がった。


いつの間にやら麻宮君が自分の席に戻り、三角おにぎりを頬張っていたのだ。


「えっ。あ、お、お疲れ様です」

「絹田さんは?」


かなりパニクったけど、何とか返答した私に麻宮君はさらに言葉を投げ掛けた。


「ば、売店に行くということで…」

「そうなんだ。じゃ、今頃染谷さん大庭さんと鉢合わせしてるかもな。二人も覗いて来るって言ってたから」

「そ、そうなんですか」


答えつつ、ギクシャクとした足取りで自分のデスクに向かうと、マグカップを手に取り、急いで茶器類が置いてあるコーナーまで移動した。


うかつであった…。


5人しかいない部署で仕事するんだから、タイミングによって、麻宮君と二人きりになってしまう可能性は高確率であったというのに。
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