痛々しくて痛い
ぐるぐる回るお寿司屋さんに行く度に飲んでるけど、結構美味しいし。


茶葉を丸ごと使ってるから、栄養価も高そうだよね。


「……あのさ」


なんて、自分が置かれた状況も忘れて粉茶の長所を列挙していると、しばし無言だった麻宮君が、口調を改め言葉を発した。


「顔合わせの会の時にも思ったんだけど、何か綿貫、俺に対してよそよそしくねーか?」

「え」


ズバリ核心に触れた質問に、思わず動きが止まる。


「どうして?俺、綿貫に何かしたか?」

「え。い、いえ…」


考えなどまとまらないままに口を開いたけれど、当然、麻宮君を納得させる返答などできる訳もなく。


「よ、よそよそしいだなんて、そんなこと…」
「ない訳ないよな?ここまで来て、誤魔化そうったってそうはいかないから」


否定の言葉はバッサリと、切り捨てられてしまった。


「何か思う所があるなら、はっきりと言って欲しい。理由が分からなくちゃ俺も謝りようがないから」

「あ、謝るだなんて、そんな…」


これはもう逃げられない。


「麻宮君がそんなこと、する必要、ないです」


いや。
むしろ、逃げてはいけない。


最初からきちんとこうしておくべきだったんだ。


私は缶の蓋を閉めてカウンター上に戻すと、体の向きを変え、覚悟を決めてしっかりと、麻宮君に視線を合わせた。


「私の方こそ、麻宮君に、謝らなくてはいけない立場だから…」
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