痛々しくて痛い
震えそうになる声と体を必死に抑え込んで言葉を紡ぐ。


「あんな、酷いことを、してしまって」

「え?」

「今さらにも程があるし、許してもらえるかどうかは分かりませんが…」


そこで私は深々と頭を下げた。


「本当に、申し訳ないことをいたしました」

「えぇっ?ちょ…」


途端に麻宮君はうろたえ出す。


「ちょっと待った。あんなことって、俺、綿貫に何かされたっけ?」

「…新入社員研修の時…」

「いや、とりあえず、頭上げてくれよ。すっげーしゃべりづらいんだけど」


その言葉に促され、私はおずおずと姿勢を戻しながら続けた。


「仕事に全然関係のない、卒業アルバムなんか持って来てしまって」

「ん…?」

「さらに、高1の時の麻宮君の写真を渡辺さん達に見せて、麻宮君がすごくからかわれる羽目になってしまって」

「あっ」


そこで麻宮君は合点がいったように声を上げた。


「あれか!っていうか、綿貫お前、あの時の事を今までずーっと気にしてたワケ?」

「……はい」


その反応に、私は大いに戸惑った。


てっきり大人の対応で、過去の非礼は忘れたふりをしてくれているのかと思っていたのだけれど、今のリアクションを見る限り、正真正銘記憶から抜け落ちていたように思える。


「マジか~」

「本当にごめんなさい。私が無神経だったから」
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