痛々しくて痛い
『うん。何か新しい事に挑戦する時って、やっぱ怖いし、すごく不安な気持ちになるよね』

「そうなの」

『でも、人間ずーっと変化の無い生活を続けて行くなんていうのは不可能だし、人生のうちで必ず何回かは過渡期を迎えて、それを乗り越えて生きて行かなくちゃいけないんだよね』

「…うん」

『とはいえ、一旦選んだ、もしくは選ばざるを得なかったその道を、死ぬまで辿って行かなくちゃいけない、っていう事ではないんだよね。『この先に私の望んでいる物はない』って気付いた時には、そのコースを外れる事もアリだと思う。それは逃げじゃなくて、とても勇気のいる決断だと思うから。つまりその選択も「目の前の試練を乗り越えた」って事になるんだよね』


相槌を打つのも忘れ、私は訥々と紡がれる優子ちゃんの言葉にただ静かに耳を傾けた。


『だから愛実も、自分の納得の行く道に進めるように、頑張ってみて。陰ながら応援してるから。もちろん、愚痴や相談はいつでも聞くからね』


「……ありがとう」


ああ、やっぱり、優子ちゃんと出会う事ができて、ここまで友情を育む事ができて、本当に良かった。


相手の負担にならないような、だけどこの上なく心強い言葉を、こんなにサラリと紡げるような素敵な人が私の人生に深く関わってくれているんだもん。


人間関係があまりうまくいかない運命だなんて思っていたけれど、とんでもない。
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