痛々しくて痛い
「茶色でコロコロモサモサムクムクしてて、たぬきにそっくりだったから、コロ太と命名した。俺が名付け親だぜ!」

「た、たぬき…」


私を見てると、そのワンちゃんを彷彿とさせるんだ……。


麻宮君は得意気に語っていたけれど、何だかちょっと微妙な気持ちになってしまった。


「あ、ゴメン。やっぱ失礼だったよな」


私の心中に気付いたのか、麻宮君はちょっと慌てた様子で言葉を繋いだ。


「女子に向かって、たぬきに似てる犬に似てるだなんてさ」

「あ、いえ…」

「だけどやっぱ似てんだよなー」


……その点は絶対譲らないんだ…。


「なんつーかこう、醸し出す雰囲気がさぁ」

「……まぁ、確かに私、言われてみればたぬきだけど…」

「ん?」

「名字の中に『たぬき』が隠れてるから…」


そこで私はハッとした。


「あ。それ言ったら絹田さんもだ。名字をひっくり返せば、なんとたぬきに早変わり…」「ブフッ!」


すると麻宮君は間髪入れず吹き出した。


「ホ、ホントだ!すげー大発見!アハハハハ!」


またもやツボに入ってしまったらしい。


「え、えと、大丈夫…?」


お腹を抱え、顔を真っ赤にして悶絶している麻宮君に、私は恐る恐る問い掛けた。


明らかに心拍数と血圧が上昇しているのが分かるし、そのうち笑いで命を落としてしまうんじゃなかろうかと、すこぶる心配になる。
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