痛々しくて痛い
そんな事件の加害者になってしまったりしたら後味が悪いにも程があるもの。


「朝から随分賑やかだね」


するとその時、部屋のドアが開き、絹田さんが颯爽と入って来た。


「廊下まで丸聞こえだよー。麻宮君の声って響くから」


そう言葉を発しつつ、彼女の後ろから大庭さんも姿を現す。


「ね?伊織さん」

「うん。私よりちょっと前にロッカールームを出た人が、ギョッとしたようにこの部屋をガン見しながら通り過ぎて行ったよ」


二人はそう言いつつそれぞれのデスクに向かい、PCを立ち上げた。


「いや、だって、綿貫がっ…」

「そうやって人のせいにするのはおよしなさいな」


苦しい息の下、何とか状況を説明しようとしている麻宮君に、伊織さんはクールに言い放つ。


「キミの笑いの沸点が低すぎるだけだから。事あるごとに発作を起こされて、綿貫さんもいい迷惑だよね」


言いながら、カウンターまで近付いて来ると、腰を屈めた。


「カップ、皆の分も出しちゃって良い?」

「あ、私やりますよ。伊織さん」


茶器当番は私ですし。


「いいっていいって。つーか、昨日私自分のカップ奥に仕舞っちゃったんだよね。取り出しづらいし、また戻すのも面倒だからここに置いとくわ」


と、解説している間にカップはすべて天板の上に並んでしまった。


「すみません…」


そこで私は後れ馳せながらその事実に気付き、ハッとする。
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