痛々しくて痛い
他の人からしたら「え?どこが違うの?」って思うだろうけど、私の中の基準ではそうなってしまっていて、その感情を完璧にお伝えするのはなかなか難しい。


とにかく、麻宮君は麻宮君なのだ。


「悪い。遅れた」


するとそこで勢いよくドアが開き、染谷さんがそう声を発しながら足早に入室して来た。


「おはようございます」

「おはよう。って、何だ?皆集まって」


全員からの挨拶に答えつつ自分のデスクまで歩を進め、手にしていた書類を机上に置きながら、染谷さんは問い掛けて来た。


「呼び名について話し合ってたんですよ」

「よびな?」

「ハイ。もうこれからはお互い、ファーストネームで呼んじゃおうよって事で」


颯さんが代表で返答する。


「颯、伊織、慧人、愛実、って。あ、同期二人は従来通りらしいですけど」

「ああ、そういう事ね」


合点がいったように頷くと、染谷さんもカウンターに近付き、私達の輪に加わった。


「じゃあ俺もそうさせてもらおうかな。っていうか、自然とそうなっちまうと思うけど。俺のことも『樹』で良いからさ」

「分かりました」

「あ、えと…」


麻宮君は即了承していたけれど、私は躊躇しながらも反論してしまった。


「私は名前で呼ばれるのは全然かまいませんが、課長の事は今まで通り染谷課長で…」


これまた何だか『樹さん』とは言い辛い。


「ありゃ、そう?」
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