痛々しくて痛い
「過去に何度か通達があったから、慧人と愛実はすでに把握していると思うけど、今年の10月、真々田屋は創立60周年を迎える。そして『60周年記念感謝祭(仮)』として、イベントが予定されているんだが…」


手元の資料をバサバサと机上に広げながら、染谷さんは話を進めた。


「すでに数ヶ月前、各部署から人員を選出し、総務部長を総指揮官とする記念祭の実行委員会が設立されている。だから運営に関してはそこにお任せなんだけど、その情報を拡散する任務を、我が販促総プロ課が背負っている訳なんだな」

「ていうか、それが控えていたからこそ、この課の発足を急いだんですよね」


そこで颯さんが言葉を挟んだ。


「会長がインタビューで語ってましたもん。『60年という長い歴史を刻めたのは社員の功績もあるし、何よりその時代時代に支えて下さったお客様達のお陰。節目の年に感謝祭を開催させていただく事になったが、そのイベントを盛り上げ、無事成功に導く為にも、外部への大々的な情報発信が必要不可欠であり、専門の部署の発足が急務であると考えた』って」

「すげ。よく覚えてますね」


一緒にインタビュー記事の編集をした麻宮君は尊敬の眼差しで颯さんを見た。


「あ。いや、一字一句合ってる自信はないけど。でも、だいたいそんな感じだったよね」
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