痛々しくて痛い
右手で手刀を切るようなジェスチャー付きで解説する陣内に、何か反論しようと口を開きかけたが、考えがまとまらないうちに先に言葉を紡がれた。


「あ。『気付いてたんなら助けてやれば良かったのに』とか、そういう説教はなしな。別に暴力があった訳じゃないし、うかつに男子が女子の間の問題に首を突っ込むと更にやっかいな事になる恐れがあるから、あえて動かなかったんだ」


陣内は早口で捲し立てた。


「クラスメートで立場は対等なんだから。何か物申したい事があるのなら、それは綿貫さん達自身が頑張って相手にぶつけなくちゃいけない事だと思うし。能天気にスクールライフを過ごしていたお前に、あの時の俺の判断を責められる筋合いはねーからな」

「いや…。別に俺、なんも言ってねぇだろ」


この饒舌っぷりはおそらく、後ろめたい思いから来るものなのだろう。


「とにかく、そういう微妙な間柄だったんだよ、吉田と綿貫さんグループは。攻撃側はともかくとして、それを受けていた側は、未だにわだかまりは残っていると思う」


陣内は再びビールジョッキを手に取ると、残りを一気に飲み干し、ふー、と息を吐いたあと、続けた。


「ちなみに、俺自身は別に何も被害は受けていないし、一緒に幹事役を全うしなくちゃいけない立場だから、吉田がフレンドリーに接して来る以上、邪険にするつもりはない」

「……ああ」


まぁ、それは仕方がないよな。
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