痛々しくて痛い
「あ、気にせず見てろよ」

「いえ。そろそろ歯を磨いて来ようと思って。あと、本をロッカーに仕舞って…」


言いながら、綿貫はすでに空になっていたらしい菓子の袋と紙パックを畳んで足元のゴミ箱に捨てた。


次いで腰を屈め、デスクの引き出しを開けると、中から茶色のポーチとハンカチを取り出し、そのまま立ち上がる。


「じゃ、ちょっと、行って来ます」

「ああ」


歯磨きグッズと本を手に部屋を出て行く綿貫を見届けてから、カウンターに近付くと、ポットとやかんを持って給湯室に向かった。


水が入って大分重量の増したそれらを手に部屋に戻り、電気ポットをコンセントに繋いで湯沸かしボタンを押し、諸々のセットを終えてコーヒーメーカーの電源を入れた所で綿貫が戻って来た。


「えっと…」


席に着き、おそらくこのタイミングで出勤の打刻をしているのであろう、端末を操作し始めた綿貫に数秒遅れて俺も自分の席に腰かけると、同じくその処理をしながら彼女に向けて声を発した。


昨日からずっと気にかかっていた件について、探りを入れてみる事にしたのだ。


「あのさ、綿貫」

「はい」

「前から聞こう聞こうと思ってて忘れてたんだけど、クラス会どうすんの?」

「え?」

「案内のハガキ、数週間前に届いてただろ?」

「あ…は、はい…」

「参加するのか?」

「い、いえ、私は…」
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