痛々しくて痛い
胸を撫で下ろしつつ俺は話を進めた。


「時間は午後6時からで、会場はクラス会やるとこと同じだから。案内状に住所と駅からの経路図が書いてあっただろ?」

「あ。でも、今度の土曜日はダメなんです」


すると綿貫は慌てて言葉を発した。


「ゆう…お友達が、数ヶ月後に結婚式を控えてて、そのウェルカムドールの制作を任されてるから…」

「ん?ウェルカムドール?」

「はい。式場や披露宴会場の入口に飾って、招待客をお出迎えするお人形。依頼があったのはあみぐるみなんですけど、それを私が作るんです」

「ああ、それってあれだろ?毛糸で編んだぬいぐるみ」


俺だって『手芸のお店真々田屋』の社員なんだから、それくらいの知識は持ち合わせているぜ。


ただし技術はからっきしだけどな。


そういや従姉の結婚式に招待された時、入口に看板と新郎新婦をモデルにした人形が飾られてたっけ。


あれのあみぐるみバージョンがあるって事か。


すっげーファンシーな仕上がりになるし、いかにも女子が結婚式をドリーミーに演出するのに選びそうなアイテムだよな。


「はい。それの材料と、あと、友人一同で贈るお祝いの品を、お友達と一緒に買い出しに行くんです。その後食事会もする予定なので」

「そっか」


じゃあ、仕方ねぇな。


「でもさ、ああいうのって、慣れてる人でも完成までにそれなりの期間を費やすだろ?」
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