痛々しくて痛い
「そりゃそうだろ。ランドマークがしっかりしてんだから、迷いようがねーよ」

「地図はあれで問題なさそうだね」

「グルメサイトの情報通り、駅から徒歩5、6分の距離だもんね。多少酔っぱらっちゃっても、ちゃんと帰れるよね」


吉田と星野も会話に加わった。


「これでお値段もリーズナブルなんだもんね。良いとこ押さえられたよねー」

「でしょー?幹事として、超頑張ったんだから私」


二人の賑やかな会話を聞きながら、俺はテーブルの端に置いてあったおしぼりを取り、手の平や甲を丹念に拭き始めた。


今日ここに陣内と一緒に来るつもりでいたら、案内状に印刷されている経路図は初めて店を訪れる者でもすぐに理解できるかどうか確かめたいという事で、俺と星野はあえて単独で歩かされたのであった。


すでに場所を知っている幹事二人は店で待っていたという訳だ。


皆もう良い大人なんだから、別にそこまで配慮する必要なんかないと思うんだけどな。


つーか、よっぽどの方向音痴でもない限り、あの地図が読めないなんて事はねーだろ。


「……当日もこの個室じゃないよな?」


ふと気になり問い掛ける。


「いやまさか。ここに何十人も入らないだろ」

「だよな」


返答した陣内に俺はすぐさま頷いてみせた。


腰かけているのは4人だけど、椅子は6脚並んでおり、つまりこの部屋のキャパシティは最大6人という事なのだろう。
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