痛々しくて痛い
そして本人の希望と上からの査定で本社勤務となるのだけれど、まさかまだ店長補佐のこの私が、それらのプロセスをいきなりすっ飛ばして、その中枢に位置する部署に配属になるとは。


これこそまさに青天の霹靂。


せっかく販売の楽しさに目覚めたというのに……。


いや、実は最初の頃は、真々田屋がオリジナルで出している、手芸キット等の新商品開発なんかに関われたら光栄だろうな~なんて図々しくも考えていたのだけれど。


お客様と直に接する事はない裏方さんだし、それこそ『物作りの推進』という点では最高峰のポジションなので、とても心惹かれていたのだ。


もちろん、入社早々そんな重要な部署に配属される訳もなく、あくまでも密かに憧れていただけだったけど。


しかし今となってはもうちょっと、現場で頑張ってみたかったな、なんて思ったりする。


つくづく身勝手な願いだけども。


「…確かに、他にもいくつか道はありましたが、それでも、私は真々田屋が良かったんです」


何だかこれまでの軌跡をしみじみと振り返ってしまい、大分間を開けてからの返答になってしまった。


「ここに雇っていただけて本当に良かったと思っています」

「あ、ごめんね?何だか綿貫さんの選択にケチをつけたみたいになっちゃって」


私の返事を待つ間にコーヒーを味わっていた店長は、慌てて口内に残るそれを飲み下し、発言した。
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