痛々しくて痛い
1日の終わり、茶器を洗うタイミングで当番がそれも一緒に片付けるのである。


もし、その前にお湯が溢れそうになったりザルがいっぱいになってしまったりしたらその時点で処理する決まりだけれど、ここで働き始めてから約3週間経った現在、誰もそういった事態に遭遇した事はない。


ザルも容器も大きいし、5人しかいない部署だから、容量を超える事はめったにないのだろうと思う。


そんな訳で、ミーティングや休憩前後はカウンター前は混雑する事になるのだけれど、私はいつも皆さんとはちょっとだけタイミングをずらしてコーヒーを淹れたりカップを置きに行ったりするようにしていた。


周りに人がいない状態で、自分のペースで動けないと、高確率で何かしらポカをやりそうな予感がするので。


「愛実。この内容、入力しておいてもらえるか?」


いつものごとく真っ先にカップを片付けデスクに戻っていた染谷さんが、そう声を発しながら私に近付き、机上に手書きのメモを置いた。


「あ、はい」

「俺はちょっとあちこち顔出して来るから」


私だけではなく全体に向けてそう言いながら、染谷さんは先ほどのデザイン画とプリントアウトした書類を手に部屋を出て行った。


「いってらっしゃい」


伊織さんと麻宮君と私は同時に同じ言葉を発する。


「お気をつけてー!あ、ところで伊織さん」
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