痛々しくて痛い
仕事中や休憩時、じっと私に視線を向けて来て、その気配に気付いた私がパッと顔を上げると慌てて逸らす、という行動を、数日の間に5回もしていた。


しかもそれは私が気付いた限りでのカウントだから、もしかしたら他の場面でも度々観察されていたのかもしれない。


何かを言いたそうな、とても含みのある、強ばった表情で。


私の知る麻宮君はそんなリアクションをするような人ではなかった。


視線が合ったら正々堂々にっこりと、微笑み返してくれるような人だった。


それが今やあの挙動不審っぷり…。


一体彼に何が起きたのだろうか?


また、日を追う毎に、何故かみるみる顔色が悪く、覇気がなくなって行ったのだった。


仕事量が増え、それで体力や精神力が消耗してしまったと言われればそれまでだけど、この私でさえ何とか踏ん張れているというのに、麻宮君の方が先にペースダウンしてしまうなんてとても意外だった。


これまた過去のデータと照らし合わせる限り、彼は逆境の中でこそ燃え上がるというか気力がみなぎるというか、むしろハイテンションになって前へ前へと突き進んで行くような人だったから。


しかしそれでも、元々のエネルギーの貯蓄量が申し分ないから、本来よりパワー不足とはいえ仕事は粛々と着実にこなしていたのだけれど。


その点はさすがだなと思った。
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