痛々しくて痛い
もし無理だったら諦めて帰るつもりで、受付窓口にいた、おそらく私より若干年上と思われる女性事務員さんにまずは保険証がない事をおずおずとお伝えした。


すると、染谷さんの予想通り、一旦は10割負担の診察代を支払うようになること、また、当院は土曜日も午前中だけやっていて、明日間違いなく保険証を提示に来てくれるならその時に精算し直す、という事を、丁寧に説明していただき、その条件を快く飲んだ結果、晴れて診察していただける事になった。


そこで初診の人には必ず記入してもらうという、バインダーに挟まれた問診票を手渡され、待合室の長椅子に腰かけてせっせと各項目を埋めていたのだけれど……。


いつの間にやら意識を失うように、突然、コトリと、眠りに落ちてしまっていたらしい。


なんせ今日は尋常じゃなく心身共に疲弊したものだから……。


いや、そんなの言い訳にしてはいけないんだけども。


どんな状況であろうとも、寝ない人は寝ない。


良い歳した大人が公衆の面前で堂々と眠りこけてしまうなんて、とんでもなくこっ恥ずかしい。


しかもきっと、体が前後にユラユラと揺れていたに違いない。


過去に寄せられた家族や友人からの目撃情報によると、それが私の居眠りスタイルであるらしいから。


「先ほどの問診票、お預かりしてもよろしいですか?」
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