痛々しくて痛い
カップを手に再び食器棚に近付き、今度は缶の隣に置いてある竹細工で出来たお茶菓子入れを覗き込むと、一口チョコとおかきの小袋を手に取り、自分のデスクへと戻った。


椅子に腰を落とし、コーヒーを一口飲み干した所で、再度ため息。


…何か、午後からの勤務って初めてだから、ちょっと不思議な感じだな。


チョコを口に入れつつぼんやり考えた。


遅番の場合は本来なら11時15分からのスタートなんだけど、今日は出張があったので、16時15分からラストの20時15分まで勤務するよう命じられていた。


染谷さん絹田さん大庭さんは、ミーティング後、そのままそれぞれの仕事に戻るというお話だった。


麻宮君も無事職場に着いただろうか。


まぁ、ここと比べたらだいぶ近いし、乗り換えも簡単だから大丈夫だとは思うけど。


私みたいにお茶でもしながら時間までまったり過ごしていたりするのかな。


平日はこれからが混雑して来る時間帯だもんね。


今のうちに充分に休息を取って、鋭気を養っておかないと…。


なんてナチュラルに麻宮君の姿を脳内スクリーンに映し出してしまってから、私はハタと我に返り、すこぶる焦りまくった。


ああもう、何てこと!


せっかく今まで必死に意識の外に追いやっていたというのに。


彼の存在を思い出すと必然的に、あの時のあの記憶も甦ってしまい、胸の奥がズキズキと脈打つ。
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