痛々しくて痛い
あの日から、もう何度となく繰り返し経験して来た痛みだ。


しかも今日の場合、久方ぶりに至近距離でバッチリ会話を交わしてしまったのだから。


彼の存在が最新データに更新された状態で脳内PCのデスクトップに保存されてしまい、こうなってしまったらもう、記憶の奥底に封じ込めるのは到底無理に決まっていた。


そう観念した所で、私の思考は一気に、過去のある地点へと遡る。




『あれ?』


都内にある某ホテル内のイベントホール前。


「わたぬき?綿貫愛実だよな?」


2013年度入社予定者の為の懇親会が開かれる事となり、当然、私にも事前に案内状が届いた。


正直そういった集まりは大の苦手なのだけれど、かといってお断りできるような立場でもなく、かなりドギマギしつつも覚悟を決めて会場を訪れた。


入口付近の受付で、担当の女性に氏名を述べ、座席の位置を教えていただいて中へ入るべく数歩歩いた所で、そのように問い掛けられたのだ。


とても驚いたような声音だったけれど、振り向き、その聞き覚えのある声の主を確認した瞬間、私も驚愕した。


高校2、3年時のクラスメートである彼が、背後に当たり前のように佇んでいたのだから。


まるで過去にタイムスリップしたかのような錯覚に陥った。


「久しぶり。…って、俺の事覚えてる?〇〇高校で同じクラスだった、まみやけいとだけど」
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