痛々しくて痛い
「この会社がさらなる飛躍を遂げた時、自分もその中の一員でいられたら、すっげーワクワクするんだろうなって思ってさ。まずは誰でも店舗勤務から始まって、頑張り次第でステップアップして行くっていうシステムも、やりがいがありそうだよな」


エスパーじゃなくても読心術に長けている人というのは存在するし、何となく私の胸の内を察知したのだろうか。


「だからここを選んだんだ。手芸に関しては正直未知の世界だけど、そこに重きは置いていないって話だし。入社してからでもいくらでも勉強する機会はあるかなって」

「そうだったんですか…」


ちゃんと事前に色々調査して、考えに考え抜いて選んだ進路だったんだな。


いや、就活する立場として、私があまりにも甘ちゃんだっただけか。


「私は、あんまり深く、考えていなかったんですが…」


状況的に無言でいる訳にもいかなかったので、私も流れに沿った内容を語る事にした。


「昔から編み物が大好きで、真々田屋にはお世話になっていたから、そこで働けたら楽しいだろうなって思いまして…」

「ああ、もちろんそういう動機でも良いんじゃねーの?っていうか、それこそ理にかなってると思うし」


麻宮君は笑顔で頷きつつ続けた。


「自分の好きな事を仕事にできて、それで生活して行けるなんて、奇跡的に贅沢で幸せな人生だと思うぜ」
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