痛々しくて痛い
麻宮君とは対角線上の端と端に分かれてしまったし、職場の偉い方も出席しており、その方達のスピーチ等を挟みつつの会だったので、とてもじゃないけど自由気ままにウロウロできるような雰囲気ではなく、彼とのその日の会話はそれっきり。

いや、もしあちこちのテーブルに移動できたとしても、きっと私は動かざること山の如しだっただろうけど。


そんなこんなで控えめな談笑とテーブル上の料理を食す音が響く中、粛々と会は進行し、2時間程でつつがなく終了した。


「綿貫さん、帰り電車だよね?」

「駅までどうやって行くの?」


帰り際、両隣に座っていた江川さんと加藤さんという女性から声をかけられた。


さすがの私も同じテーブルの人達とは頑張って会話を交わしていたので、名前はもちろんの事、どこから来たやら家族構成やら、当たり障りのないデータは交換済みだった。


その際、私の自宅は埼玉であるという話もしたので、それを踏まえて二人は質問して来たのだ。


「えっと、バスで行こうかなと思ってます」


ホテルから最寄り駅までは1キロちょっと。


歩いたとしてもせいぜい15分くらいだろうけど、その日はローヒールとはいえパンプスを履いていたし、様々な書類を配布されて荷物が増える事も事前に分かっていたので、無理はせずに車で移動する事にした。


交通費もそれ込みの値段で申請してしまったし。
< 43 / 359 >

この作品をシェア

pagetop