痛々しくて痛い
バス停まで何分もかかるようだったらそのまま駅まで歩いて行ってしまうけど、幸いホテルの真ん前にあるのだから、その地の利を活用しない手はない。


「途中どこかに寄る予定だったりする?」

「いえ。駅まで直行です」


懇親会を無事終えて、安堵感に包まれてはいたものの、やはり疲労感の方が大きく、一刻も早く家路を辿りたかった。


「そうなんだ。じゃあ、良かったら一緒に帰りませんか?」

「え?」

「江川さんと私も電車だから」

「初めての場所で一人で公共交通機関を利用するのって、何だか心細くない?実際私、ここまで来るのにすごく不安だったし。だから帰りは誰かと一緒が良いなーと思って、前もって加藤さんに声かけてたの」

「まぁ、それぞれ乗り込む列車は違うだろうから、どっちみち駅に着いたらバラバラになってしまうんだけど」

「ほんの短い時間だけど、せっかくお近づきになれたんだから、お話しながら帰りましょうよ」

「あ、えっと…」


同期である江川さんと加藤さんは、入社後に予定されている新入社員研修会で再び行動を共にするのはもちろんのこと、その後も長きに渡って交流が続く可能性のある方達。


せっかく友好的に接して下さっているのだから、こちらもそのお心遣いにありがたく応えるべきだと判断し、笑顔で返答した。


「わ、分かりました。ぜひともよろしくお願いします」


それに…。
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