痛々しくて痛い
そのかいあって3年間、一度も風紀検査でひっかかる事はなかったけれども、そんな私の制服の着こなし方についても「あれってありえなくね?」と一部の女子にヒソヒソされてしまう結果になった。


『ああ…。また一つ、悲しい思い出が甦ってしまった…』


「あそこって偏差値も高いんだよね。60後半だっけ?すごいよねー」


そんな風に感傷に浸る私に気付くことなく、渡辺さんは陽気な口調で続けた。


「で、ものは相談なんだけどさ。綿貫さん、今度卒業アルバム持って来てくれない?」

「…え?」

「○○高校の制服、色んな角度からじっくり眺めてみたいんだー。ランキングの写真と違って、大勢の生徒達が日常生活の中でナチュラルに身に着けてる制服姿の方が、リアリティがあって見ごたえもあるだろうし」


渡辺さんは生き生きとした表情で語っている。


真々田屋に就職したくらいだからやっぱり、自分が興味を引かれた『洋服の造形』をじっくり観察し、探究しないと気がすまない人なのかな?と解釈した。


「あ、もちろん私も自分の卒アル持って来るからさ。お互いに見せあいっこしようよー。私、前々から綿貫さんとじっくりお話がしたいと思ってたんだよね」

「え」

「綿貫さんて大人しいけど、何気に優秀だし。端末機とかレジの使い方、覚えるのすっごい早かったよね?私こっそり見てたんだから」

「そ、そんな…」
< 53 / 359 >

この作品をシェア

pagetop