痛々しくて痛い
「でも、そうだよねこれ。よく見ると麻宮君だよね。ばっちり面影が残ってるし」

「男子の成長期、恐るべし」

「小さい時に可愛い子って、大きくなるにつれて残念な感じになる事が多いのに、奇跡の変身だよねー」


「はよーっす」


するとその時、挨拶を発しながら、麻宮君がフラリと会議室に入って来た。


「あ!麻宮君!」


まだ出社している人は少なく、周りから疎らに「おはよう」という声が上がる中、渡辺さんは突然立ち上がると、アルバムを手に彼の元へと駆け寄ってしまった。


山本さんと高橋さんも急いでそれに続く。


「おはよう!」


「……はよ」


そのやりとりを見ていた私は一瞬『あれ?』と思った。


麻宮君の表情も声音もそれまでよりトーンダウンし、元気いっぱいの渡辺さんとはかなり温度差があるように見えたから。


とにかくいつもの麻宮君とは何かが違うな、と。


それに気付いていないのか、はたまた気付かないふりをしているのか、渡辺さんはハイテンションのまま続けた。


「10代半ばの頃の麻宮君て、すっごく美少年だったんだね~」

「……は?」

「とぼけても無駄だから」

「私らばっちり見ちゃったもんね」


言いながら、高橋さんは渡辺さんが手にしているアルバムを指差した。


「あ、それ…」


怪訝そうな表情で、促されるままそこに視線を合わせた麻宮君は、さらに眉をひそめた。
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