痛々しくて痛い
「二人のこと『いおり』と『そう』って呼ぶのが定着しちまって、今さら直せないよ」

「私も。でもまぁホント、呼び名はどうでも良いから。あ。とりあえずそれ、回してくれる?」

「は、はい」


絹田さんに促されるがまま、私は2つのカップを手に取ると、それを急いで彼女のデスクの上へと置いた。


「ありがと。はい、樹さん」

「ん、サンキュー」


カップは無事、持ち主の元へとリレーされて行った。


その間に大庭さんはプラスチックコップを私と麻宮君の席に配って下さっていて、緑と白のストライプのカップとトレイを手に、自分の席へと戻った。


「あ。砂糖とミルク、そこに置いといたから。味の調整はお好みでやってね」


その言葉に促されて机の端を見ると、スティックシュガーとポーションのミルクが数個乗せられている小皿が置いてあった。


「樹さんと伊織さんはブラックだし、オレはもう自分の分は入れてあるから。後は二人で使って」


「あ、はい。それでは…」


呟きながら、私は砂糖とミルクを一つずつ手に取ると、封を開け、カップに投入した。


何か食べながらの時は味が混ざらないようにブラックで、コーヒーのみを味わう場合は甘くまろやかにするのが私流であった。


麻宮君は何も動きを見せなかったので、きっとブラック派なのだろう。


「この部屋、以前は資料室だったんだよ」
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