痛々しくて痛い
コーヒーを口に含み、それを飲み下したあと染谷さんがおもむろに語り出した。


「正確には『色んな部署の色んな書類が乱雑に押し込められていたカオスな空間』」

「ほんっとすごかったですよねー!」


そこで大庭さんが興奮気味に同意する。


「ごっちゃごちゃの資料をファイリングし直して一部電子データ化して不要の物は破棄して、だいぶ嵩が減ったそれをそこに並んでる鉄庫に仕舞ってデスクや事務用品を入れるスペースを確保して、それらの設置にも関わって」

「他に空けられる部屋がなかったらしいから仕方ないんだけどね。ホント、振り返れば激動の1ヶ月だったよ」


絹田さんもしみじみとした口調で後に続いた。


「まぁ、樹さんが一番大変だったと思うけど。前の仕事の引き継ぎがまだ残ってて、その合間を縫って、私達と臨時で雇われた派遣さんに指示を出してたんだから」

「なんか…。すみませんでした」


すると麻宮君が、後頭部をサワサワと撫でながら気まずそうに言葉を発した。


「一番面倒な作業を免除してもらっちゃったみたいで…」

「いやいや、タイミング的に仕方なかったんだよ」

「そうそう。それに、あれはあれで楽しかったし」


染谷さんと大庭さんがすぐさまフォローを入れてくれた。


「自分達の巣を一から作り上げて行く野鳥の気持ちが味わえたっていうか。ね?伊織さん」
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