痛々しくて痛い
「そうだね。今んとこ、定期発行の社内報くらいかな。でも、新商品発売時のパッケージデザインなんかはオレに任せてもらえるハズだし」

「でも、あちこち掛け持ちでやってた頃と比べたら、デザインに費やす時間はだいぶ減ってしまうと思うんです。それについては抵抗はなかったんですか?」

「今までだってデザインの仕事を一つ得るのに、それ以上の労力をかけて営業しまくってたんだもん。自分を売り込むのがいかに大変かっていう事と、だからこそそれが成功した時の達成感は半端ないって事は身に染みて分かってたし。だからそういった仕事に携われる事に、抵抗どころかこの上ないやりがいを感じてるよ」


大庭さんはそれを裏付けるかのような、晴れやかな笑顔を浮かべつつ言葉を繋いだ。


「むしろ、今まではあくまでも本来の業務の前準備であった物がちゃんと『ビジネス』として捉えられて、それに対する報酬をもらえるんだもん。しかも立場は正社員。生活基盤がしっかりと整った状態で精神的にゆとりを持ちながらデザインの仕事にも関われるんだから、すごく恵まれた立場になれたと思ってるよ」

「ああ。だったら、実務のリーダーは颯って事で良いんじゃない?」

「え」


それまで雄弁に語っていた大庭さんだったけれど、絹田さんの提案に突然フリーズした。
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