Assassins
「倉本さん」

巽は倉本の顔を見る。

「雪村 亮二の仕業だと思いますか?」

「…他には考えられんだろう」

現場にまだ残る遺体を見ながら、倉本は呟いた。

不必要な傷は一切ない。

どの遺体も的確に、致命傷のみを与えて絶命させている。

殺しの素人ほど、不必要に遺体を損壊させ、無駄な傷を負わせる。

熟練した暗殺者は、一撃で確実にトドメを刺す。

少ない労力で最大の効果を挙げる為だ。

何度も攻撃を仕掛けなければならないようでは、暗殺の遂行時間が長引き、仲間を呼ばれたり、目撃者に見つかったりして、暗殺が失敗する恐れがある。

暗殺とは、迅速であればあるほどいい。

その点、この人数を相手に、全て的確に。

恐らく全員殺害するのに、一時間かかっていないだろう。

それだけの腕の暗殺者を、倉本は亮二以外に知らなかった。

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