あなたと月を見られたら。
柔らかな間接照明の光に照らされた室内で龍聖の舌が自分の指と彼の指の隙間をぬって、オイルを舐めとる。
「うん、美味しい。」
そう言って危険なケモノの目をして私を見つめ、美味しそうにオイルを舐める彼を見てると、頭の奥がおかしくなる。彼の感触を指に感じると
「や、ぁ…っ!!」
ヤバい感覚に襲われて、また流されそうになってしまう。
もう騙されない。
流されない。
そう決めたクセに…
「ダメ…りゅうせぇ…!」
「何がダメなの?
俺はオイルを舐めてるだけだよ?」
彼の舌に酔わされると、思考回路がマヒしだす。試すように、観察するように、私の反応を見て楽しむ龍聖の視線が、指先を這う彼の舌が、私の本能のスイッチを激しく刺激してたまらない気持ちにさせる。
「や…だ…っ!!」
もうこれ以上流されたくなくて絡んだ指先を必死に引き抜くと、龍聖はニヤリと笑って
「アレ?口元にもオイルがついちゃったんだねぇ。」
立ち上がって私の隣に腰掛け、そっと私の口元に顔を寄せる。
ヤバい!!!
そう思った時にはもう遅い。
「うん、美味しい。」
口の端をペロリと舐めとられて
「ねぇ、美月。もうちょっと食べていい?」
今度は奪うように唇をかすめ取られる。触れるだけだったキスはいつの間にか深さを増して、彼の熱い舌が私の口内にゆるりと侵入して私の中を犯していく。
「うん…口の中も美味しいね。」
オトナな目をして、熱い目をして、ケモノの目をして私を欲しがる龍聖。満足そうに危険な目をして笑う彼を見てると頭の中が溶かされて、もうこのまま流されてもいい、と思ってしまう。
あぁ、ダメだ。
私はなんて弱いんだろう。
こんな私は、やっぱり麻生さんや龍聖の言うように“騙されやすいオンナ”なのかもしれない。