あなたと月を見られたら。
は、はぁ?!
何よ、鈍感って!!
言っちゃなんですけどねぇ!私は流行にも敏感な方だし、友達が前髪切っただけでも気づく女なのよ?!
どっちかといえば鈍感じゃなくて、敏感な方だと思うんですけど!!
空気を全く読まない、読もうとしない、最低最悪の生き物に、殺意を抱きつつキイッと睨むと
「いい意味で、だよ。人間って基本は保守的だし特に女の人って家庭や家族を守らなきゃ!って本能があるから、基本冒険はしないし、変化は好まない生き物なんだってさ。だからちょっとした環境の変化にも敏感でストレス溜まっちゃうんだって。」
龍聖はニッコリ笑いながら、そっと手を伸ばして私の頬に手を寄せる。そして私の頬を指の腹でナデナデすると
「その点、美月はいーよね。鈍感で。
自分を取り巻く人も環境もどんどん変わっててさ?その流れに流されて惑わされて、自分の立ち位置があやふやでわからなくなったり、変化についていけなくてヒステリー起こしたりしてもおかしくないのに……鈍感だから変化に気づいてないんだもん。」
「……は??」
「ある意味さぁ??変化に鈍感、って凄い才能だと思うよ。」
こんな腹の立つことを言いはじめる。
な、なによそれ。
私がバカって言いたいの??
お言葉ですけど私だってねぇ!変化には、ちゃーーーんと気づいてますよ!
でも気づいたところで起きちゃったコトは仕方ないことだし、後悔したって過去は変えられないし、出会っちゃったモノは仕方ないし!ウジウジ考えても仕方がないし!
しょうがない。
ま、なんとかなるでしょう。
ケ・セラ・セラのハクナマタター。
って自分に無理やり言い聞かせてるだけだったりするんだよ?!それを……勝手に鈍感扱いされたら堪らない。
コメカミの青筋をピクピクさせながら
「龍聖。」
「ん??」
「それってホントは、けなしてるんじゃないの?!」
龍聖に怒りながら問いかけると
「なんで??俺は褒めてるつもりなんだけど。」
龍聖はワケがわからない、とでも言いたげに首をひねる。