あなたと月を見られたら。


幸せなキス

想い、想いやる気持ちに溢れたキス

言葉はなくても気持ちの伝わるキス



そんなキスを龍聖とできるなんて思ってもみなかった。


2年前にした龍聖とのキスは、心が繋がってる実感がどこにもない、悲しく淋しいキスだった。


変…だよね?
カラダは繋がってるクセに心が繋がってないなんて。


でも2年前の私はその違和感を拭えなくて、心の中の隙間が気持ち悪くて、満たされなくて、足掻いてもがいて、何もかもが苦しくて……繋がっても満たされない、その虚無感が悲しくて、私は龍聖から逃げ出したんだ。


だけど、、だけどね?
もしかしたら、もう大丈夫なのかもしれない。


こんな風に唇が触れるだけで、手をつなぐだけで、こんな風に満たされた気持ちになるなら…龍聖のこと、受入れても大丈夫なのかな。



龍聖とキスをしながら、溶ける頭の中で考えていたのは、そんなこと。


信じてもいいのかな。

彼に傾いてしまいそうな自分の心を委ねてみてもいいのかな。

好きになっても…いいのかな。



名残惜しそうに唇が離れていって。温もりのなくなった唇が寂しくて、少し薄く目を開けると、そこにはとろけるように柔らかな目で私を見つめる龍聖がいた。


龍聖は私の頬を手のひらで優しく撫でて、もう一度私の唇にキスすると

「ヤバイね。」

「……え?」

「このまま押し倒したくなってきた。」

「ええーーーっ?!」

そう言って、困る私を見てニヤニヤ笑う。



どこまでもドSで本能に正直な彼。とろける頭とカラダを必死に現実に引き戻して

「だ、だめ!」

精一杯の抵抗をすると


「でも、そんなことしたら美月に嫌われちゃうから、やめとくよ。」


柔らかにニッコリと微笑んだ。


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