あなたと月を見られたら。
愛のない男はお断り!
今度は優しい男の人と恋をする!!
そう言って憚らなかった、私。言いたいことも言えず、最後は『好きな人が出来た』だなんて嘘をついて龍聖と別れた私。
こんな私にしたのは龍聖。
だから私は何にも悪くない!
龍聖が優しかったら、龍聖が愛してくれたら、龍聖が誠実だったら。龍聖が先回りして私を喜ばせてくれればこんなことにはならなかったのに!!
どんなに綺麗な言い訳も、もうこうなってしまったら通用しない。私の本音はきっと最初からこうだったんだ。
別れたのも、うまく付き合えなかったことも全部龍聖が悪い。嘘なんてついて私の信用を失わせた、龍聖が全部悪い。全部全部悪いのは龍聖で、私は被害者。
弱虫な卑怯者。本音を言えずにただ嫌われないように言いたいことを我慢して、本当の自分を全て隠して、彼にぶつかって行けなかった自分にだって罪はあるのに……私はそのすべての罪を龍聖になすりつけてた。
ーー最悪……。
そんな自分に気づいて嫌気がさして、ど
っぷり自己嫌悪に陥っていると
「俺はアンタと龍聖との間に何があったのかは知らない。興味もなければ聞きたくもない話だけどさ?男と女の問題で、どっちかが100%悪い、だなんてないと思うんだよね。」
「…え??」
「例えば浮気性の男と付き合って苦しんでる女がいるとするでしょ?確かに可哀想だよ?可哀想だけどさー、俺はそういう男を選んだ女の方にも問題はあったと思うんだよね。」
デビル麻生は運ばれてきたカフェラテに口をつけながら、こんな元もないことを言いはじめる。
「幸せになりたいなら、そういう男を選ばなきゃいい。それでもそういう男が好きなんだったら飽きられないように最大限の努力をするべきでしょ。カノジョって立場や妻って立場にあぐらかいてふんぞり返ってる女なんて、ちっとも魅力的じゃないよ。」