あなたと月を見られたら。
龍聖のお母さんが扉を開けて出て行った後、扉の外からはカタンと小さな何かをひっくり返す音がした。
台風が過ぎ去った後、残されたのはポカンとした顔で成り行きを見守る私とニヤニヤ意地悪い顔して私を抱きしめる龍聖だけ。
「あ、あの……」
なんだか居心地が悪くって龍聖の方を振り返ろうとすると
「知らなかったな〜。美月がそんなに俺のこと好きだったなんて。」
「…えっ?!」
「なんか面白いことになりそうだな〜、と思って他人のふりしてみたけど、、、美月は相変わらず面白いね。」
「え、ええー?!」
龍聖はクスクス笑いながら、私を抱きしめる腕の力を強くする。
面白いことになりそう、ってひどくない?!お店の中に私が入った瞬間に「この人は自分の母親だ」って紹介してくれてたら、こんな事にはなってなかったと思うのに!!
「ひどい!」
相変わらずな悪魔の思考回路を披露する龍聖に非難の声をあげると
「ありがと。よく言われる。」
彼はクスクス笑いながら私の首筋にチュッとキスする。
は、はぁ?
なんでキス?!
なんでキスした??!!
キスされた首筋を右手で覆って、真っ赤な顔しながら龍聖を振り返ると
「さーて。じゃぁここからは尋問タイムね?」
「‥はい??」
「ふふっ。甘々タイムはちょっぴりお預け。
やーーっと懐いてきたかな?って手応えのあった俺のかわいい仔羊ちゃんが、何がどうなってこうなって、、、。ありえない暴言吐いて逃げ出したのか‥、俺は聞く権利あるよねぇ???」
ひ、ひぃぃぃぃぃぃー!!!!
龍聖はコメカミに血管を浮かべてピクピクさせながら、にーっこり笑って私を尋問し始めた。