あなたと月を見られたら。


な、なんでこの人、ズバズバ言い当てられるの?!あの時の私を見てたの?それともだれかに聞いたの?

そうじゃなきゃ…
ねぇ、、もしかしてエスパーなの?!
アンタは地球に住んでるエスパーなのー?!


あまりの驚きに言葉すら出なくって。口をパクパクさせながら心の中でウギャーと叫んでいると

「ビックリしてる美月に水を差すようだけどさ?こんなの見てなくても冷静に考えればわかることだよ。美月の様子がおかしくなったのって…俺が塔子さんに呼び出されてスティーブの仕事を手伝った直後なんだよね。だから…逆算してけばそれがキッカケなのかな、と思っただけ。」

龍聖はニッコリと天使の微笑みを浮かべながら私に問いかける。


だ、ダメだ!
この人頭が良すぎる!
この判断力、侮りがたし!
結局のところ龍聖には私の行動なんでお見通しなんじゃん!!



その最終通告にガックリきて

「…そ、その通りです…」

と自白を強要された犯人のように小さな声で答えると、龍聖はニーッコリと。それはそれはニーッコリと微笑みながら

「本当…美月ってバカだよね。」

致命傷な一言を言い放った。


ぐっ…!!!!


まさにその通りな私の壮大な勘違い。その言葉にはグゥの音も出ない。


言い返すこともできずに「うぅ!」と唸ると

「勝手に思い込んで勝手に1人で終わらせちゃって。俺の気持ちなんてそっちのけで答えを出して、挙句の果てに店まで乗り込んじゃってさ。」


私の顔を覗き込みながらバカにしたような顔をして龍聖はクスクス笑う。


ーーうう!
それを言われるとグウの音も出ない!!


自分の浅はかな行動に恥ずかしいやら情けないやらで、背中に気持ちの悪い冷たい汗をかかせていると


「塔子さんとケンカするわ、とんでもない告白するわ…本当メチャクチャ。」

「う、うう!!!」

「本当、美月って自分で思ってるよりもずっとずっと短絡的で自分勝手。でも……正直もうダメかな…とも思ってたから、こうやって美月が来てくれたことにはホッとしたけどね。」


龍聖は寂しそうに。でも柔らかで優しい笑顔を向けると私の頬に手を当てて自分の唇をそうっと寄せた。


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