あなたと月を見られたら。
「あのさ。俺はやっと美月と想いが通じて嬉しいワケよ。それを気持ちじゃなく態度で表そうとしてんのに、なんで待ったをかけるかな。」
いやいや、いやいや。
わかりますよ?
私もそうしたいのは山々だけど、ここ、気をつけないと外から見えちゃうじゃん!夜ならまだしも…昼間の明るい時間にそんな最中見られたら恥ずかしくて生きていけない!
彼の手を押さえながら
「龍聖のその気持ちは嬉しいけど、外から見えたら嫌だもん!」
そう答えると
「大丈夫、ブラインド閉めるから。それにちゃんと奥でやれば見えないから。」
悪魔はにっこり微笑んで、自分の手をさらに奥に進めようとする。
あ、、そうか。
その手があったか……、じゃ、ない!!
「お客さん入ってきたらどうするのよ!そんな姿見せられたら絶対二度と来てくれなくなっちゃうよ?!」
うん!
これなら龍聖もやめてくれるでしょう。だってなんだかんだでお仕事第一だし。お店に来て喜んでくれる顔が好きだ、って言ってたばかりだし!
言い終わった後、ふと龍聖を見ると少し考え込んだ複雑そうな顔をして「うーーん。」と唸っている。
その姿を見て勝利を確信して、龍聖の手をスッとシャツの中から引き抜いて
「じゃ、また夜に来るね。」
そそくさと帰り支度を始めていると
「甘い!」
ニヤリと笑った龍聖に肩を掴まれ、そのまんまテクテクされるがままに歩かされ、近くにあった壁にドンっと追いやられる。この体制はいわゆる壁ドンってヤツだ。