あなたと月を見られたら。
「勘違いしないでよね。龍聖に屈したワケじゃないから!!」
イタチの最後っ屁のごとく言い放った強がりは
「はいはい、わかったよ。それで美月の気がすむのならそうしときな。」
私より一枚も二枚も上手な性悪最低悪魔にクスリと一蹴される。
悔しい!
なんなのよ、その勝ち誇った顔っ!
心の中で大きく地団駄を踏む私。龍聖は大人しくなった私の指を絡め直して
「コレはただの俺の自己満足だから。美月が気にする必要はないよ。」
寂しそうにクスリと笑う。
なに…よ、それ。
意味がわからなくて。言葉の意味もその表情の意味も全てがわからなくて、無意識のうちに龍聖の顔を見上げていると
「なに?」
龍聖が私の視線に気づいて、さりげなく目が合う。
「自己満足…って…なに??」
聞かなくても良かったのかもしれない。聞き逃せばいいことだったのかもしれない。だけど知りたくて。その言葉とその表情の意味がわからなくて、知りたくて、思わず口から言葉がこぼれ出た。
龍聖は私の質問に一瞬驚いて、一瞬いつもの表情に戻った後
「俺…自分で言うのもなんだけど、二年前の俺は随分嫌なヤツだったなー、って思うんだよね。」
「…へっ??」
「仕事、仕事の毎日。みんなと協力して何か大きな仕事を成し遂げる…って言うよりは個人プレーで、ひたすら人と闘って勝つことばかり考えてたから。もちろんフットサルで息抜きはしてたけど…正直それ以外の人間関係はめんどくさい、って思ってた。」
龍聖はあの時には聞けなかった本音を吐き出し始めた。