あなたと月を見られたら。
「yの右下に斜めの線\を足してやると、あら不思議。yがxに変わるだろ??」
「おお!!」
すごい!
yがxに変わっちゃったよ!
でも…これになんの意味が??
さらに私が首をひねると
「yに一画線を足すとxになる。逆に言えばxから一画線を引くとyになるでしょ?だから…xyの染色体を持つ男って種族は不完全な生き物なんだってさ。
xxの染色体を持つ女の人は男にはない一画分の感覚を持って、みんな生まれてきてるらしいよ。」
ニコニコ笑いながら、麻生さんはこんな難しいことを言いはじめる。
んん??
エックスがワイで、yがx??
あー、だめだ!頭の中が混乱してきた!
数字と記号に弱い私の頭の中がパンクして悲鳴をあげてると
「ま、端的に言うと、その一画分の能力が第六感って呼ばれる女性特有のカンの良さなんじゃないか、ってことだよ。」
「え??」
「ほら、女の人って彼氏が浮気してる、とか、怪しい、とかピンとくるっていうでしょ?その能力は男にはない。なんでかっていうと男は一画足りない染色体だから、五感までしかないんだってさ。」
麻生さんはそんな風にわかりやすく説明を加えてくれた。
ほーーお。納得したぞ!
ある、ある、ある、ある!
確かに彼氏が怪しい、とか初対面でこの人苦手かも、とか、なんとなく嫌な予感がする、って感覚には覚えがある!!!
そっかー、染色体かぁー。
遺伝子レベルに組み込まれた能力だったんだぁー。
「だから、さ?女の人は何に関しても勘ぐりすぎて難しく考えすぎなんじゃないのかな、って俺は思う。」
「なるほど!!」
麻生さんの講義に首をブンブン縦に振って、納得していると
「ホント……
一画多いが為に、ことあるごとにあれやこれやを勘ぐって疑って、挙げ句の果てには泣き叫んで…本当めんどくさいよね?女って。」
麻生さんはニッコリ微笑みながら、こんな恐ろしい一言を言い放つ。