あなたと月を見られたら。
あ、あ、あ、あ、麻生さん………??
今の空気感。それにその冷たい目線。それはまるで…私のよく知っている、愛のない悪魔のよう。
今のはデジャブ!?
それとも見間違い?聞き間違い??
え、ええっ??!!
あなたは愛ある天使な男性ですよね??!!
優しい麻生さんから飛び出した、まさかまさかの辛辣な愛のない言葉にピキリと身を固まらせていると
「フフッ、なーんてね。
悪い男のフリしてみちゃったよ。」
アハ!と笑って麻生さんはいつもの天使の笑顔に早変わり。その様子に私は心から安堵する。
よ、よかった!
勘違いで本当に良かった!!この人も悪魔の仲間なのかと思ってヒヤヒヤしたよぅーー!!
1人でホッと安堵のため息を漏らすと
「つまりはどんなに複雑そうに見えても、男は案外単純だよ。わからない、って悩むよりも変なフィルターを抜きにして、単純に観察すればいいんじゃないかな。」
麻生さんはいつもの通りの天使の笑顔を振りまきながら、私の肩をポンと叩いた。
「フィルターを抜きに…??」
「そう。悪い男、いい男、そんな色眼鏡は抜きにして、見えるもの、感じたものだけ信じればいいんじゃない??」
「そう…なんですかねぇ…。」
「うん、そんなもんだよ。過去も今も関係ないよ。男も女も日々進化していく。それとともに日々、考え方も感じ方もどんどん変わっていく。それが人間って生き物なんだからさ?悪い男のひとくくりで、その人を見てしまうのは勿体無いと思うな。」